ウィーンの日々2:食事-粗食について食事について。実は海外個人旅行初体験からくる緊張のせいなのか、ほとんど食事が咽を通らなかった。空腹を感じるのだが、少し食べると満腹になってしまう。今にして思うと、非常に残念だ。だがそのおかげで、普通の市民の食事の様子もよくわかった。これが「上から下まで旅行」と名付けた理由の一つでもある。ペンションでの朝食 朝食はペンションで摂っていた。ドイツ圏の朝食は初めてなので、楽しみにしていた。本で調べたところによると、大体パンとハムやソーセージ、チーズにシリアルなどが一般的という。私は、ハム(特に生ハム)やチーズにパン、ミネラル・ウォーターといった食事が大好きなのだ。決して自慢できることではないけれど。美味しいハムは噛めば噛むほど味が出てくるし、チーズも同様だ。それらと、シンプルだが美味しいパンの組み合わせは、豪華なディッシュに勝るとも劣らないものだ。 このような私、ペンション・モーツァルトの朝食には結構満足した。担当のおばさんが控えめで良い人だったというのもあるけれど、一般家庭の朝食の様子を実体験できたという実感も貢献すること大だったと言えよう。 時間があったときに、ペンションの近くのスーパー「BILLA」をのぞきに行ったところ、朝食に出てくるパンと同じものが売られていた。日本で言うところの、一袋数百円(10個程度入り)の品質のものと思われるが、それでも、それなりに美味しかった。高級パンでなくとも、十分に味がある。 ペンションでは6回朝食をいただいたが、そのうち1日だけ、非常に美味なサラミソーセージが出た。このサラミは、本当に美味しかった。一口噛むとじんわりと脂分が溶け出す。更に噛むと、咽から鼻孔へと肉が少々発酵した香りが抜ける。それを存分に楽しみながらパンを囓る。このサラミの香り、日本で食べるサラミにはありえない。翌日も楽しみにしていたが、サーブされていなかった。チェックアウトの日まで楽しみにしていたのだが、とうとう一度も出なかった。がっかり。 庶民の食事? 本来ならば、大食漢の私。前述の通り、食欲がなかったのでレストランでの食べ歩きが出来なかった。オペラ初日の「マイスタージンガー」の終演後は、オペラ座近くのワインケラー「エステルハージーケラー」に行ったのだが、既に23時ということもあり、また疲れもありで、殆ど食べられなかった。 夜遅く食べると、質量ともヘヴィーなものを摂ると翌朝の調子が悪くなる。そこで、同行者のMさんが、近くのナッシュマルクトという庶民の市場でチーズやパン、チョリソー、ワインなどを買ってきてくれた。オペラが終わったら部屋でそれらを食べるという数日。これなら翌日に持ち越さない。 このような食事が一番美味しかったと今にして思う。ペンションでの朝食もそうなのだが、パンとチョリソー、それにウォッシュタイプのチーズという大好きな品物があれば、粗食であろうとなんだろうと、美味しい。これらの品々、日本で安く美味なものに巡り会うことは滅多にない。彼女が選んだ品々は外れが全くなく、その日のコンサートやオペラの感想などをおしゃべりしながらワインやシャンパンを飲み、チーズとチョリソーでパンを食べ…。 一見非常な粗食に思えるが、とても贅沢なことなのかもしれない。海外旅行に行くと、色々なレストランで色々なものを食べてしまう。勿論土地の特徴的な料理も食べることができるが、実際に土地の人が食べているような食事を摂ることは難しい。郷に入っては郷に従え、これを少しでも実践できたと思っている。 ジャンル別一覧
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